Column コラム

第31回「ナッツとセロトニン」

技術が進歩し、社会制度が高度化した現代ではストレスを抱える人が増え続けています。

国連の下部組織である世界保健機関(WHO)は昨年、世界のうつ病患者が3億2200万人にのぼることを発表しました。
そして、うつ病が語られるときに必ず同時に注目されるのが脳内の幸せホルモンと呼ばれるセロトニン(5-HT)です。

セロトニンの分泌が増えることによってうつ病の症状は改善することも報告されています。
そして、しばしば、食品の中のセロトニンが神経活動に有利に働くような記述を見かけたりしますが、これは誤りです。

食品から摂られたセロトニンは脳血管関門(BBB)を通過しませんので、脳へ運ばれることはありません。
それでは、脳以外の身体にとってセロトニンが役に立たないかというとそんなことはありません。

胃や腸の動きや分泌物を調整したり、膵臓の働きを正常に整えたりする働きがあります。
分かり易い例を挙げれば、セロトニンが不足すると便秘になります。

 このセロトニンがナッツには含まれています(Food Chem. 2019; 272: 347-353)。
昔はこれらの食品中のセロトニンは測定することが出来ませんでしたが、現在では、高性能液体クロマトグラフィー/質量分析装置(UPLC-MS / MS)が開発され比較的簡便に測定可能になりました。

生ナッツの中で最も多く含まれるのはくるみ(155±57.0 μg/ g)で、最も少ないのは、日本ではあまり食べられませんがマツナッツ(0.05±0.01 μg/ g)でした。

ローストナッツの中では最も多く含まれるのはペカン(15.3±1.27 μg/ g)で、最も少ないのはマカダミアナッツ(0.03±0.00 μg/ g)でした。

 脳内のセロトニンはアミノ酸の一種、トリプトファンを摂る必要がありますが、脳以外のセロトニン補充には是非、ナッツを選択して頂きたいと思います。 

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