Column コラム

第22回 「アレルギーと熱処理」

食物アレルギーについて多くの記事を目にするようになりました。先年話題になったグルテンフリーもアレルギーの問題です。アレルギーとは「食品由来の物質を摂取した後に、免疫学的機序を伴って、皮膚、粘膜、消化器、呼吸器に炎症などの過剰反応を起こさせる現象」です。ナッツ全般では、日本人の1.9%にアレルギーがあると言われています(例えば、栄養学原論;南江堂)。アレルギーの原因となるアレルゲン(抗原)はタンパク質です。卵や肉が熱を加えると変質するように、ナッツも熱処理をすることで、アレルゲンを変質させてアレルギーを発症させないようにしようという研究が世界中で進んでいます。
例えば、最新の研究としてカシューナッツとピスタチオに対する加熱処理が報告されました(Food Chem. (2018) 245:595-602)。この研究ではカシューナッツとピスタチオの熱処理によりアレルギーで重要な役割を果たすIgE(アイジーイー)抗体の反応が変化するかを調べたものです。この研究では、IgE抗体だけでなく、皮膚反応なども同時に行なっています。加熱処理の中で特に有効だったのが、加熱と一緒に加圧を行なった場合でした(圧力鍋を想像して頂くと良いと思います)。カシューナッツに関してはこの加熱/加圧処理を行なってもまだアレルギー反応は残っていましたが、ピスタチオに関してはほとんどアレルギー反応を起こしませんでした。味や香りなどの問題もあり、また、完全にアレルギーを取り除くことには成功していませんが、近い将来に、ナッツに関してはアレルギーを気にせずに食べることが出来るようになるかもしれません。

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